[本紹介]反省させると犯罪者になります

せっかく参加者の方々からベスト本を紹介していただいているので、参加者のイチ推し本をこの読書会のホームページでも紹介したいと思います。月に10冊以上読んだ中からのベスト本ということで、読み応え抜群の本ばかりです!

参加者の方から紹介いただいた本ではありますが、必ず私自身も一度読み、手元の書籍を参照しながら書いているので、内容の正確性についてもご心配なく。それでは見ていきましょう!

目次(「BOOK」データベースより)
犯罪者に反省させるな―。「そんなバカな」と思うだろう。しかし、犯罪者に即時に「反省」を求めると、彼らは「世間向けの偽善」ばかりを身に付けてしまう。犯罪者を本当に反省に導くのならば、まずは「被害者の心情を考えさせない」「反省は求めない」「加害者の視点で考えさせる」方が、実はずっと効果的なのである。「厳罰主義」の視点では欠落している「不都合な真実」を、更生の現場の豊富な実例とともに語る。

反省させると犯罪者になります

今回紹介するのは、2019年7月の会の参加者に紹介いただいた本「反省させると犯罪者になります」(新潮新書)です。なかなかセンセーショナルで煽り気味なタイトルですが、内容としては極めて真面目で、興味深い視点を提供している一冊だと思います。

この本のメインメッセージとしては、子どもが悪いことをしても「反省させてはいけない」というもの。一般的には、「悪いことをした人は反省させるべきである」と考えられていると思いますが、この本での主張はその一般的な感覚を真っ向から否定するものとなっています。

私自身も、はじめはその理由がよくわからなかったのですが、この一冊を読んで非常に強く納得させられました。主張内容自体は極めてロジカルであり、実際の更生施設などでのケーススタディなども多く紹介されているので、論点をつかみやすいのも特徴です。こういった、常識を覆すような視点が書かれている本は読んでいて楽しいですね。

反省が生む抑圧

ここからは簡単に内容を紹介します。多くの人は、この衝撃的なタイトルを読んで多くの人が「なぜ、反省させてはいけないのか」という疑問を抱いたと思います。先にも書きましたが、一般的には悪いことをしたら「反省」しなければならないと考えられているので、それはもっともな疑問だと思います。

その疑問に対する端的な回答は「強制的に反省させても真の反省が得られないから」というものです。つまり、なにか悪いことをした場合に反省文を書かせたり、反省の弁を無理やり引き出したとしても効果がうすい(むしろ、逆効果でさえある)というわけです。小さい頃に悪い子として反省文を書いた経験がある方ならなんとなくわかると思いますが、そうやって書かされた反省文に本当の気持ちが乗るかと言うと、そんなことはないでしょう。

この本で筆者が言っているのは、自分の弱さを直視することの重要性です。結局のところ、「自分が悪いことをした」という自覚は他者から強制的に引き出されるようなものではなく、悪いことをしてしまった自分の弱さに向き合うことではじめて可能になるのです。「反省」というのはあくまでも主体的な行為であり、外部から強制されるようなものではない、ということはよく考えると当然の話でしょう。

だからこそ、「反省させてはいけない」のです。強制的に反省させたとしても得られるのは表面的な言葉や振る舞いだけであり、そこに真の意味での主体的な「反省」はありません。むしろ、そういった表面的な反省は自分の弱さに向き合う機会を奪い、行為の根源にあるものは抑圧されてしまします。このような抑圧をしている限り、どこかで同じような行為を繰り返してしまうのは日を見るより明らかでしょう。それが「反省させると犯罪者になります」という言葉に繋がります。

誰にでも関係のある話

これらの内容を考えればわかるとおり、教育現場で働く方や、子どもを育てている親御さんにはとくにオススメの一冊です。やってはいけないことをしてしまった子どもに対して、人はつい「反省」させることで解決を図りたくなるものですが、必ずしもそれが有効なわけではありません。子どもとのかかわり合いの中で大きなヒントになる一冊だと思います。

では、そうではない人にとっては無関係かというと、必ずしもそうではありません。実際に筆者も「受刑者の問題は私たちと無縁ではない」と論じており、教育に関わる人だけの問題ではないことを示唆しています。具体的な内容は是非ご自身で読んでほしいと思いますが、どんな人でも考えるきっかけになることでしょう。オススメの一冊です。

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